作家ランク 旬
ペンネーム おんぷ♪
受注状況
作品内容 男性向け 女性向け
得意ジャンル
美少女 ロリ レズ ボーイズラブ 純愛 制服 近親相姦 ほのぼの ダーク
コメント
レズ、ボーイズラブ、近親相姦が得意です。
言葉による官能を目指します。
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【サンプル1】

絆001
おんぷ♪

 巧(たく)は家の前で足をとめた。妹の姿に気づいたからだ。小夜(さよ)は男と抱き合っていた。唇が重なる。躰(からだ)が熱くなる。怒りの為か判然としなかつた。


 遠回りをして家に帰ると、小夜はもう何食わぬ貌(かお)でホットミルクを飲んでいた。
「おかえり、お兄ちゃん。」
「ん、ただいま。」
 つい、拓は妹の唇を眺めてしまう。先程、目撃したキスを思い出してしまうのだ。
 さくらんぼのような唇は艶やかで色つきのリップを使っているわけでもないだろうが、ピンクをしている。ホットミルクの所為(せい)か濡れたように見える。
 小夜は色素が薄い。栗色の髪。栗色の眸(ひとみ)。きめの細かい肌は驚くほど白い。小造りな貌(かお)を囲むように栗色のショートカットの髪がかかっている。大きな眸(ひとみ)はくるくるとよく動く。小柄で華奢な体躯だが、手足が細いためか驚くほど伸びやかに見える。
「お兄ちゃん、明日、『死霊の餞(はなむけ)』を観に行かない?」
 『死霊の餞』はハリウッドが挑戦した本格ホラーだ。小夜は映画に目がない。特にホラー映画を偏愛していた。
 明日は土曜日なのだ。しかし、拓は彼女と映画に行く約束をしていた。彼女が観たがったのは小夜と違い、まっとうな純愛ものだった。
「明日は用事があるんだ。『ニューヨーク・ラバーズ』を観に行く。」
 拓は云った。
「桜さんと?」
 桜と云うのは拓の彼女であった。
「小夜には関係ないだろ。」
 拓は、冷たく云い放った。小夜の頬に朱がさす。
「わたし、見たんだから。お兄ちゃんと桜さんがキスしてるとこ。」
 拓もカッとする。先程、目撃した光景が甦る。
「小夜こそ、先刻(さっき)の男と行けばいいだろ?」
「先刻(さっき)の男?」
 小夜の眸(ひとみ)が揺れる。
「キスしてただろ?」
 拓は烈しい調子で小夜を詰(なじ)った。小夜は拓の貌(かお)色を窺っている。
「どうして、お兄ちゃんが怒るの?」
「別に怒ってないさ。」
「ぢゃあ、どう思った? 変な気分になった?」
「莫迦(ばか)。」
 拓は内心、動揺しながら、表面上は冷静に云った。
「妬けた?」
 小夜が上目遣いに見上げてくる。その思いがけない色香に拓はどきりとした。
「まさか。」
 またもや内心の動揺を押し隠して、拓は云った。
「つまんないの。」
「なにがだ。」
「わたしはお兄ちゃんと桜さんがキスしてるのを見たから、先輩に頼んだんだからね。小夜もキスしたいなって思って。キスってどんな感じなのかなって思って。」
 拓は、怒りを覚えた。
「何だよ、それ。自分を安売りするなよ。」
「ぢゃあ、お兄ちゃんがキスしてよ。」
 売り言葉に買い言葉である。拓は、意地悪い気持ちになっていた。
「知らないからな。」
 云うと、拓は小夜の唇を塞いだ。
 勢いに任せて、烈しいキスをする。舌を差し入れ、口中を貪(ねぶ)る。舌を絡めとって、強く吸った。
「はあ。」
 やっとのことで解放してやると、小夜が甘い吐息を漏らした。
 心なしか眸(ひとみ)が潤んでいる。途端に、拓は後悔した。
「ごめん。でも、小夜が悪いんだ。」
 キスが思いの外、気持ちよかったことに狼狽しながら、拓は謝った。
「謝らないで、お兄ちゃん。小夜が悪いんだし、厭(いや)ぢゃなかった。寧(むし)ろ、小夜はお兄ちゃんとこう云うことしたかったの。」
 拓は驚いて、しげしげと小夜の貌(かお)を眺めた。
「小夜?」
「先輩とキスしても、何にも感じなかった。小夜がキスしたかったのは、お兄ちゃんだから。お兄ちゃんとのキスはどんな感じかなって思ってた。」
「小夜、」
 拓は混乱した。
 小夜は微笑む。
「知らなかったでしょ? 小夜はお兄ちゃんが好きなんだよ。」
 小夜の眸(ひとみ)はまっすぐに拓を見つめてくる。

 眸を逸らしちゃ以可(いけ)ない。拓は、自分にそう、云い聞かせた。



【サンプル2】

絆002
おんぷ♪

 小夜(さよ)の告白を受けてからと云うもの、拓(たく)はどうしても小夜を意識せずにはいられなかった。今までは、ちょっと生意気な妹だと思っていただけだったのが途端に恋愛対象として意識させられた。


 困ったことに、恋愛対象として意識すると、小夜は可愛いのだった。拓は小夜に惹かれて行く自分を感じていた。


 今日は、先日観そこなった『死霊の餞(はなむけ)』を観に行ったのだった。しかし、大々的な宣伝にもかかわらず、ちっとも怖くなかったのだった。
「寧(むし)ろ、霊、善い人だったよね。」
 小夜の言葉に、拓は首肯(うなず)いた。
「うん、善い人だった。寧(むし)ろ、ネタだね。」
 『死霊の餞』は、霊が殺人者を告発すると云う本格ホラーとは云い難い作品だった。
「もっとこわかったら、大っぴらにお兄ちゃんとベタベタできるのにー。」
 拗ねる小夜が可愛らしくて、拓は甘やかす。
「別にベタベタすればいいさ。」
「ほんと?」
 跳ねるみたいに小夜が訊く。
「ああ。善いよ。」
「嘘。うれしい。ありがとう、お兄ちゃん……ぢゃなかった、拓。ぢゃ、今から恋人ごっこね!」
 小夜は拓の腕を取る。拓の腕に小夜の胸の柔らかさと体温が絡みついてくる。
「ね、拓、プリクラ、撮ろ?」


 調子に乗った小夜のリクエストは続き、家に帰り着いたのは、夜も更けたころだった。
 卓子(テーブル)の上に両親からのメモを見つけ、小夜が声を上げる。
「『明日の晩には戻ります。』だって。相変わらず自由人ー。」
「ふたりきり、だな。」
 拓は何気なく云ったのだったが、その点がこのときのふたりには、とんでもない重大事に感じられた。気まずさを破るように、小夜が云う。
「恋人ごっこの続き、する?」
 冗談めかした小夜の本気は掠れた声で感じ取れた。
「知らないぞ。」
 低く抑えた声に、小夜は身震いしながらも果敢に云う。
「お兄ちゃんこそ、覚悟してよね。夕飯、どうする? 小夜、ピザが食べたいな。拓はー?」
「俺も。ピザで善いよ、」
「違うでしょう、拓? そこは、『俺は小夜が善い、』って、小夜のこと、押し倒さなくちゃー。」
「莫迦(ばか)。」
 ピザを食べるあいだ、ふたりはそうやってじゃれ合った。


 そう広くないバスルームをふたりで使う。
 先に裸になった拓が振り返ると、やはり裸になった小夜がおずおずと入ってくるところだった。拓はその裸体に眸(め)を奪われる。
 抜けるように白い肌は肌理(きめ)が細かく、一点の曇りもない。ぽってりと濡れたような唇は誘っているかのようだった。そのまま、視線を下げて行けば、小振りだが、張りのある形のよい乳房がある。その先端の桜色に色づいた乳輪は、白い餅に紅筆で点を置いて行ったみたいだった。


 小夜を後ろから抱き締めて、湯舟に浸かる。吸いつくような感触がある肌に手を這わせる。後ろから、乳房を揉みしだいてやると、小夜が甘く湿った吐息を漏らした。
「ん、ふっ。」
 小夜の躰(からだ)を回転させ、湯舟のへりに座らせる。華奢な太腿を割って、うっすら色づいたクリトリスを舌先で転がしてやると、小夜の躰(からだ)が強すぎるクンニリングスの刺激から逃れようと動く。
 逃さず腰を掴み、拓の舌はついに小夜の秘所を舐める。そこは、ジュクジュクに蕩(とろ)けていた。


 小夜の痛みを考え、挿入は見送った拓だが、舌と指は十二分に小夜を弄んだ。
「はあ、あっ、拓……お兄ちゃん、あん、おっ、兄ちゃっ、ん、あっ、もうっ、だめっ。」
 小夜はびくんと身を仰け反らせて果てた。


 小夜が気づいた時には、あんなにグチョグチョだった躰(からだ)は清潔なシーツの上で、清められていた。
「恋人ごっこ、最後、うやむやになっちゃったね……小夜、お兄ちゃんって、」
 照れ隠しするように小夜が云う。
「『ごっこ』は、もう善いよ。俺逹はどうせ兄妹だ。それよりは、これから、ほんとの恋人になろう。」
 拓は小夜を引き寄せて、唇を吸った。



【サンプル3】

23時
おんぷ♪

 僕は動揺している。
 自分でもはっきりとした原因は判らない。ただ、昼間はやり過ごせていることがこの時間になると噴出してくる。
 僕は混乱したまま、カッターナイフを手首に滑らせてゆく。赤い線のように血が盛り上がる。一本、また一本。
 気がつくと、あんなに真っ白だった襯衣(シャツ)が赤く染まっている。絶望的な気持ちになる。
 助けて。
 助けて。
 助けて、ミハエル。

          *

 僕は足音を忍ばせて部屋を後にし、ミハエルの部屋へと向かう。ミハエルの部屋に着くと、扉に取り縋つた。
「ミハエル、僕だ、リヒャルドだ。」
「リヒャルド? どうしたんだ、こんな時間に。」
 ミハエルの声はあきらかな困惑を滲ませている。
「ミハエル、開けて。」
 懇願する。
 永遠にも思われる沈黙の後、扉が開いた。
「リヒャルド、一体どうし……」
 云いさして、ミハエルは息を飲んだ。
「助けて、」
 ミハエルに縋る。

          *

 ミハエルは僕の手首を消毒して包帯を巻いて呉れた。
「抱いて、」
 僕はミハエルに縋り付いた。ミハエルの唇を吸う。
「リヒャルド。」
 ミハエルは僕を拒まなかった。キスが返ってくる。僕たちは舌を絡め合う。無言のうちにキスの音だけが響く。
 ベッドに向かい合って座っている僕たちは絡まり合うように倒れ込んだ。ミハエルの唇が僕の頸(くび)筋を這う。ミハエルの指が器用に動いて、襯衣(シャツ)の釦(ボタン)を外していく。ミハエルの唇が頸(くび)筋から胸へと移動する。
「あっ、」
 思わず声を上げてしまう。唇で僕の胸を嬲りながら、ミハエルの手はもっと下に伸びる。カチャカチャと音がしてベルトが抜き取られる。スボンと下着が同時に下ろされる。
 僕はあっと云う間に裸にされていた。
 僕を愛撫しながら、ミハエルも服を脱ぐ。僕はそれに手を貸し、ミハエルの背中を指で辿る。ミハエルの肌は少し冷たい。僕の躰を這うミハエルの唇はひんやりしていて、触れていく僕の肌に逆に熱を呼び覚ます。
 僕の内部が充分に潤ったのを見てとって、ミハエルは僕の内部に侵入(はい)ってきた。
「くっ、」
「リヒャルド。」
 ミハエルの動きに合わせて、次第に快感が訪れてきた。快感はうねる波のように高まっていき、思考することができなくなってゆく。
 気がつくと、僕は身も世もなく喘いでいた。意識が遠のきそうになる。
 果てるとミハエルは僕に口づけた。僕の呼吸が落ち着くまで、ミハエルは僕を抱きしめていて呉れた。

          *

「その瑕(きず)、自分でやったのか?」
 ふたり、ベッドに並んで横たわりながら、判りきったことをミハエルが訊く。
「決まってるぢゃないか。」
 僕はできるだけ注意深く何の色もこめないようにしながら、云った。
「そうかな。自分でやるのなんて酷く痛そうだし。」
 たぶん、顔を顰めているのだろうなと感じられる声でミハエルが云う。それは、僕に、と云うより、独り言めいて聞こえたけれど、もっとミハエルの声が聞きたくて、僕は無理矢理答える。
「それが不思議と痛くないんだよ。寧(むし)ろ、楽になるかな。」
「ふうん、何かつらいことがあるの?」
 何気なさを装って投げかけられた質問には、その実かなりの本気がこめられていて、僕は動揺する。
「生きていくことが、さ。」
 振り切るように軽い声を出す。
「なにそれ。真面目に訊いているんだぜ。」
 その声には幾分不機嫌な調子がこめられており、僕は訳もなくうれしくなった。
「ぢゃ、真面目に云うよ。時々、たまらなくなるんだ。特に夜は。僕には支えが必要なんだよ。」
「もし善かったら、だけど、」
 ミハエルは幾分早口になって云った後、こう続けた。
「俺がその支えになろうか?」
 一瞬、思考が停止した。それから、急速に胸に暖かいものが広がった。
「ミハエル。白状するよ。今でも僕は君をこっそり支えにしているんだよ。」
 ミハエル、僕の天使(ミハエル)。
 ミハエルはひっそり笑った。
「もっと大っぴらに支えになるって云ってるんだぜ。」
 呼吸が止まりそうになる。僕は応える代わりに身を起こして、ミハエルの唇を吸った。

          *

「だけど、おかしなものだな。リヒャルドは何時(いつ)も飄々として見える。みんなを誘惑してみんなからすり抜ける。」
 僕は笑った。
「それはポーズに過ぎないよ。僕にとってはミハエルのピアノの下に潜り込んで過ごす昼休みがなによりの安らぎなのだよ。」
「これからは俺もピアノの下に潜り込むかな。」
 ミハエルは悪戯っぽく笑った。
 僕は慌てて云う。
「だめだよ。ピアノを弾いて呉れなくちゃ。」
 ミハエルは明るく笑う。
「あはは、判ったよ。なあ、リヒャルド。もう一度しないか?」
「ミハエル?」
「先刻(さっき)のだと、流されているみたいだから。」
「意思だって云うの?」
「ああ。」
 ミハエルは僕の同意を待たず、僕の唇を吸った。

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